少し前になりますが、H26年3月に経済産業省・商務情報政策局から「ビジネス支援サービスの活用」という資料が作成されています、
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/shoujo/service_koufukakachi/pdf/004_04_00.pdf
今回はこの資料を主に中小企業にフォーカスを当てて読んでゆきたいと思います、
ビジネス支援サービスとは
「ビジネス支援サービス」とは企業の業務を代替するサービスをいう
ビジネス支援サービスの活用 平成26年3月 商務情報政策局 2P
大別して、産業横断型(①ITO、②BPO、③KPO)、④産業特化型に整理できる
②BPOについては
・BPO(Business Process Outsourcing)、事務処理的なバックオフィス業務の一部の外部委託
・市場規模:3,040億㌦
・成長率:5.5%(2012→2013)
・代表的企業:アクセンチュア(米)
市場規模は31兆9,200億円(105円換算)BPOにCRM分野が入っているようなので、とんでもない額になっていますね、計算した時に桁を間違えたかと思いました、でも世界市場では、財務会計のBPOもかなりやられていると思います、
日本ではソニーなんかは比較的先駆けでしょうか?(IBMへ外注)
ソニー、社内業務の一部を日本IBMにアウトソーシング
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201001/10-0115/
ビジネス支援サービスの必要性① 生産性向上・高付加価値化への寄与
• ビジネス支援サービスを利用したサービス事業者の多くは、経営資源のコア業務への集中、コスト削減、業務の効率化といった生産性・付加価値向上の効果を得ている。
ビジネス支援サービスの活用 平成26年3月 商務情報政策局 3P
※ビジネス支援サービスは他の産業分野の生産性への波及効果が大きい。
(参考)ビジネス支援サービスによる生産性向上・高付加価値化の事例
ビジネス支援サービスの活用 平成26年3月 商務情報政策局 4P
飲食業A社
新店舗数の飛躍的な増加に比例し、売掛金管理業務が増加。コア業務に集中すべき正社員の業務時間を確保するかが課題だった。
独自の「売掛金管理業務」のシステム化では、社員のトレーニングなどが新たに必要となり、時間的コストの削減には繋がらなかった。
BPOの導入効果 1
社員が派遣スタッフやアルバイトへのトレーニング等の業務から解放され、アドバイザリー業務などのコア業務に従事するができた。
売掛金管理に従事する社員が3名から1名になり、また1店舗あたりの単価が15%ほど削減できた
まさにその通りですよね、
特に中小企業なんかは社長自ら振込・給与計算・帳簿付けまでされている所もありますが、特に事業が伸びているときにはバックオフィス業務をする必要は全くないと思うのです(営業行って!)、そこで代わりに当社のようなBPO事業者が登場する訳です、
戦略的BPO利用への意識の低さ(BPO利用に関する日米比較1)
BPOに期待した効果について、日本は米国に比べ、「経営資源へのコア業務への集中」 、「業務拡大への柔軟な対応」といった、戦略的なBPO利用への意識が低い。
また、BPOの業務領域別に利用割合を見ても、総じて米国の方が高く、多くの企業が幅広い業務領域でBPOを活用している。
ビジネス支援サービスの活用 平成26年3月 商務情報政策局 6P
(参考)米国の戦略的BPOの利用事例
ビジネス支援サービスの活用 平成26年3月 商務情報政策局 7P
プルデンシャル・ファイナンシャル社
• 大規模な国際展開戦略(新たなコア業務)の実行のため、BPOベンダを「経営パートナー」と位置づけ、BPOを利用することで、業務プロセスの徹底的な可視化・合理化、コア業務への人員集中等を実施。
• 人材管理(Human Resource)に関する10以上の間接業務(給与、福利厚生、人材育成など)を包括的にアウトソーシング。
• のべ約250名の人員を削減しつつ、国際業務への人員配置増を実施。
日本では“BPO”という用語さえ認知が乏しく、“外注”や“業務委託”で語られています、間違いではないのですが、上記で“戦略的BPO”と書いてある通り、“外注”や“業務委託”と同列で語られている時点で、BPOに対する意識の低さは、効果が高いが故に残念なものがあります、
人材の処遇、BPOベンダに関する情報不足
戦略的BPOへの意識の低さの他、日本企業は以下の課題を抱えている。
ビジネス支援サービスの活用 平成26年3月 商務情報政策局 8P
①BPOのコストとメリットへの認識が不足(≒戦略的BPO利用への認識不足)
②当該業務に従事していた人材の処遇が困難
③BPO事業者に関する情報の不足
①は、その通りですね、一般に“外注”程度の認識しかないからですね、
②は、当該業務の従事者が居る場合、配置転換等難しい問題があると思います、ただし、平成26年当時と現在とは労働市場の環境は随分と様変わりしていて、派遣で経理を廻しているところも現在は多いので、BPOへ切り替え易い会社も多くなっていると思います、
③は、特に中小企業向けのBPOサービスを行ってる事業者が少ないことと、主にBPOを謳っている業者でも、記帳代行がメインサービスだったりするので、記帳代行会社(外注)と差別化されてないことが多い、
中小サービス業のBPO利用の低さ
• 中堅・中小企業は大企業と比較するとBPOの利用割合が低いが、BPOを利用している中堅・中小企業の満足度は大企業と比較して遜色ない高い水準にある。
ビジネス支援サービスの活用 平成26年3月 商務情報政策局 9P
• 今後のBPO利用についても大企業と同等程度の意向を示している。
• 中堅・中小企業は利用してみるとBPOの良さを実感するが、実態としての利用は少ない状態にあると言える。
経理(支払い)は自社で行うものという固定概念を崩せないと、利用は伸びないと思います、私がBPOの話をすると、BPOを理解される方からは、“えっ?そんなことしてくれるんですか?滅茶苦茶便利じゃないですか”という反応が返ってきます、
経済産業省が行った調査だと、300人未満の中小企業のBPO利用率は22%程度との数字もあります、これも300人で括ってこれですから、10人程度までの企業に
絞ると限りなくゼロに近いかなと、
戦略的なBPO利用の意識が低い理由
・日本企業の多くはBPOをコスト削減の手段として認識しているため、戦略的なBPO利用への意識が低いと考えられる。
ビジネス支援サービスの活用 平成26年3月 商務情報政策局 11P
• 現にBPOを行う日本企業の多くは連結対象や資本関係のあるBPOベンダーへアウトソーシングしており、コスト削減や効率化以外の効果をあまり感じていない傾向。
• BPOの戦略的な価値(コア業務への集中、(BPOベンダの)専門的知識・スキルの活用、業務プロセスの改善等)への理解を広める必要がある。
そうです、外注と同列であることから、コスト削減でしか語られていない為ですね、経理・税務の専門家を自社の経理として利用できるだけでもメリットは大きいと思うのです、
BPO事業者に関する情報不足
• BPO未経験企業は、セキュリティなど基礎的なサービス水準に不安を持つ中で、「BPOベンダ企業に関する情報が少ないことにより、BPOベンダー企業を信頼しにくい」(平成20年度経済産業省BPO研究会報告書)と感じている。
ビジネス支援サービスの活用 平成26年3月 商務情報政策局 13P
• そのため、日本企業は「アウトソーシング事業者の能力を客観的に評価できる指標・認定制度」へのニーズが高い。
• 他方、米国では「ユーザ企業間でBPOベンダに関する情報交換を行うコミュニティが存在し、BPOベンダのサービスを情報共有・評価している」(経済産業省による米国BPOベンダーヒアリング)
大手のニーズに限って言うと、大規模に処理を行う必要があることから、自社の基幹システムへの理解度が必要だったりするので、大丈夫だろうか?という不安はあると思います、
一方、中小企業、特に、経理が1~2名程度の規模となると、既存のクラウドサービスや会計ソフトの利用が前提となるので、もっぱら人間として信頼が出来るのか?という点だと思います、その点、資格のいらない記帳代行会社と違い、弊社は、国家資格(税理士)を背景としたBPOサービスなので、安心して利用頂けると思います、
BPOによる効果が出にくい中小サービス業
中小サービス業でBPOが遅れる理由として、中サービス業は間接部門が小さく、間接業務のコスト削減メリットが小さいことが考えられる(一般的に間接部門は社員の数%)。
ビジネス支援サービスの活用 平成26年3月 商務情報政策局 14P
• BPOベンダー側から見ても、規模のメリットを活かせるだけの一社のロットが無いため、中小企業を顧客とするビジネスモデルになっていない。
• しかし、近年こうした中小サービス業等向けに、クラウド技術と組み合わせ、中小サービス業にも効果の高い新たなBPOが現れているが、「特に中小サービス業ほどあまり知られていない」(経産省によるBPOベンダへのヒアリング)。
中小サービス業におけるBPO利用事例
ビジネス支援サービスの活用 平成26年3月 商務情報政策局 14P
飲食業A社
• 年商約1億円、従業員30名程度。都内居酒屋等3店舗を経営。
• 月額制の記帳代行サービスを活用。
• これまで経営者家族で行っていた仕入れ等の記帳作業等をアウトソーシング。
• BPOベンダは、ユーザから送られてきた伝票・領収書を集計・記帳。クラウドソフトを通じて、ユーザにリアルタイムの記帳情報をフィードバック。
• BPOベンダ内では、クラウドを使った自動化やマルチロケーション(在宅勤務の活用等)により、記帳代行を効率化。月額の低価格サービスを実現。
• ユーザは煩雑な記帳業務を安価にアウトソーシングでき、自社のコア業務への集中が可能に。
現状はクラウドサービスが安価に利用できますので、中小企業にとっても十分にメリットのある時期に来ています、しかも、コロナ禍によりリモートワークの環境も十分に整ってきていますので、経済的・心理的・業務的にもBPOへ切り替える良いタイミングにあると思います、